「神は沈黙せず」 山本弘 感想 ネタバレ
- 8 8月, 2014
災害や事件、事故で命を落とすとき、人はその理由を求める
和久優歌は幼少期に災害で両親を亡くし、兄と離れ離れになってしまいます。なぜ両親は死ななければならなかったのか?なぜ神様は誠実に生きている人を簡単に死なせてしまうのか?強い疑問と友にフリーライターとして生活していく彼女は、兄が神の存在を解明するにいたるまでに、混沌としていく世界を懸命に生きていたのですが。。。
こう聞いてみると神の存在についてまともに考えたことすらない私は、彼女の目や耳を通じて世の中の不条理や不可解さを考えずにはいられませんね。いま生きている世界は一体何のためにあるのか?そんなことまで気になってしまいました。
リアリティたっぷりに怪奇現象や検証事例などが盛り込まれていますが。。。
ハードカバーで読んだため、そのボリュームはかなりのものでした。なにせ事例を紹介する記述がとても多く、「あれ?これってどこまでフィクション?」と思ってしまうほど。事実にしろ創作にしろ、よくぞここまで書き連ねたものよと関心してしまいます。ただ、途中からはちょっと読むのが苦痛になり、半分を過ぎることには、話の進展に関係ないものは、しっかりと読み飛ばしてしまうようになってしまいました。事例がなければもっとスッキリした印象だったかもしれませんね。
「サールの悪魔」?この世界は”神”のシミュレーションでしかないとは。。。
本編を読んでみてほしいが、サールの悪魔っっていう時点で、神と人間とは全く分かり合えないんですよね?神にとって人間の世界はブラックボックスで、インプットからアウトプットまでの間は理解できない領域。一方中にいる人間にとって、世界の外は一切かかわり様のない、本来知覚できないもの。物語の作者とその登場人物のような関係だったらまたちょっとファンタジーって感じですけどね。この本は違いました。
エンタメ的な展開としては十分面白かった
前述しましたが、もう少しスッキリと読み終えられれば良かったかもしれませんが、十分楽しめた作品でした。「アイの物語」という機会と人間の物語を扱った作品でも存分にこの思考が楽しめるそうですので、機会があったら読んでみようと思います。少-しずつ読んだので、読み終わるまでに数ヶ月掛かってしまったので、別の意味で達成感があったなぁ。山本弘の作品は今後も読んでいけそうな気がします。