「魔術はささやく」 宮部みゆき 感想

  • 21 5月, 2013

<『魔術はささやく宮部みゆき

宮部みゆきといえば、複数のジャンルで作品を世に送り出している珍しい作家さんですね。その中でミステリー好きな私としては、推理モノはやはり外せません。

舞台は昭和の香りがする東京で、両親を亡くしてから叔母の家族のところで居候している少年:日下守が主人公です。

2つの場所で同時期に女性二人が”自殺”し、まもなく別の女性がタクシーにはねられて死亡しますが、このタクシー運転手が主人公の義叔父であったことから、世間から冷たい風当たりを受けてしまいます。毎日かかる中傷電話の中に、被害者女性の死亡について奇妙なことを話す男が現れ、主人公は今回の事件について疑問を抱くようになります。。。

事件を通して主人公の周りには協力者や攻撃者が現れます。実際の犯罪者(加害者側)の家族がどれほど辛い目にあうのかを見聞きしたことはありませんが、この物語のように本当に耐えられない、つらい仕打ちになるのではないでしょうか。実際に自分や周りの人が同じ状況下にあった場合に、今ほど冷静に居られることはないでしょう。協力してくれる人もどれだけいるのか、想像することも出来ませんね。

読んでいただくと分かりますが、主人公は本当に強い心を持っています。この物語のポイントはまさにここにあるでしょう。小さいころから辛く悲しい境遇にあっても、自分をしっかりと見つめ、しっかりと自分をもって生きていく姿に、尊敬の念を抱いてしまいます。

一連の自殺と事件のあらましが明らかになるにつれて、恐るべき殺人の手口が判明し、主人公の父親の本当の姿と真実が分かります。ページをめくることがとめられず、最後まで一気に読んでほしい見所満載のラストです。

推理サスペンスとして読み始めましたが、最後はどんなジャンルだったか関係なく、シンプルに面白かった!!と思えます。充実した時間を過ごせたことに感謝です。

次の宮部作品をどれにするか、さっそく先輩読書家に相談してみようと思います。

 


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