「流星ワゴン」 重松清 感想

  • 5 6月, 2013


<『流星ワゴン 重松清

父親と自分、自分と息子という「父と子」について、こんなにも強く心を打たれた小説は初めてでした。



家庭が崩壊し、突然のリストラ、相容れず疎遠だった父親が末期ガンで余命いくばくも無いという、まさに”どうしようもない状態”にいる三十八歳の男性 永田一雄 が「死んでしまっても良い」と思ったところから物語が始まります。なんという重いスタートなのだろうと思ってページをめくりました。

突然数年前に事故死した親子(=幽霊)が現れ、導かれるままに主人公の過去の(不幸への)ターニングポイントに連れて行かれるのですが、そこに現れるのは、自分と同じ年齢の父親 永田忠雄でした。自分の不幸に目を背けて、何事もあきらめようする一雄に忠雄(=チュウさん)は怒るのですが。。。

作品通して、一雄は父親の本当の姿と自分への強い愛情を目の当たりにし、さらに妻や息子の本当の気持ちを全く理解せずいたことが分かり、これまで生きてきた自分の人生を大変悔やみます。過去に戻っても決して変えられない未来にもどかしさや悔しさを募らせていきます。

私にとってはやっぱり父親と分かり合えていくところがズッシリと心に響きました。一雄ほどではないにしろ、父親に対してネガティブな感情をもったことがあります。息子ができて、あのころの父親と同じ年齢に近づくにつれ、自分と父親はどうだったろうかと思いふけることがあります。一雄のように父親から目をそらしていなかっただろうかと、少し後悔が出てきてしまいました。少しずつ分かり合えていく一雄と忠雄の姿に、読んでいて途中から目頭が熱くなってきてしましました。

家族の幸せのために未来を変えようともがき、父親と正面から向き合おうとした一雄は、精一杯生きて人生を全うしようと考えます。不思議な世界の中で、大切な息子の前向きな姿と本当の気持ちが理解できた忠雄は、思い残すことなく死を迎えます。最後の最後で分かり合え、幸せな顔だったことでしょう。

私は変えられなかった未来、つらい現実に立ち向かう主人公の姿を、自分に照らし合わせながら毎日を生きようと思います。現実には難しいかもしれませんが、私も出来るだけ後悔しない選択を心がけよう、辛くても目を背けないようにしよう、と強く決心しました。

父と子について真剣に考えさせてくれたこの作品を、友人にも勧めてみたいと思います。

また今度息子を連れて実家の父に会いに行こうと思います。シワくちゃになっていく父に、昔のことを色々と聞いてみたいと思いました。

 


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