「黒い家」 貴志祐介 感想

  • 19 6月, 2013

<『黒い家貴志祐介

第4回の日本ホラー小説大賞受賞作です。前もってドギツイ内容であることを知っていたので、覚悟して読み始めたのですが、、、甘かったです。


貴志祐介は『悪の経典』から読み始めました。これ自体凄惨な殺人劇が繰り広げられ衝撃的な印象が残った作品でした。となると必ず重要作品である『黒い家』を読まなければいけないなと思い、満を持して手に取りました。

主人公の若槻慎二は保険会社に勤めています。保険金を騙し取ろうとする菰田(コモダ)重徳、幸子の二人によって、彼らの息子の死体の第一発見者に仕立て上げられるところから、物語は恐怖の展開へと進んでいくわけです。その保険業界の現場がまたリアルに表現されており、より一層現実見味を帯びています。常に犯罪と隣り合わせの業界というと大げさですが、いつ巻き込まれるか分からないと思うと、安全な仕事しててよかったと勝手に安堵してしまいます。読めば分かります。

そしてなによりこの菰田夫妻が異常すぎる!!下手したらこういう人種がすぐ近くに居るんじゃないかと思うと、身の毛がよだちます。「決してこの人とは関わっていけない」と直感した経験は誰にでもあると思いますが、そういう連中にターゲットにされることなんか想像したくもありませんね。菰田が若槻の前に現れてから、日ごとに不気味さが増していき、緊張感が伝わってくるのがよく読み取れます。

”サイコパス”については全く知識がありませんでしたが、元々人間社会ってこういう人種が存在していて、現代になってようやく理解・分類ができたのじゃないでしょうか。人間ってどれだけ賢くなっていても、結局自分たちのことがよく分かっていないんですね。

日本や韓国で映画化されており、そこそこ知名度のある作品なので、”分かった”上で読みましたが、してやられました。なんという陰惨で、残虐な展開でしょうか!リアルな恐怖、逃れられずどこまでも引き込まれてしまう絶望感など、そんじょそこらの怖い作品など比較にならない”ドギツイ”ホラー小説ですよ!映画では大竹しのぶが幸子役を演じたようですが、可愛らしい顔つきより、陰険な顔つきの人が演じたほうが、より恐怖感が増すような気がします。

ラストに近づくにつれて気になる、早く読みきってしまいたい、後に残したくない、と良い意味でも悪い意味でも感じてしまった、大変珍しい作品でした。苦手な人も多いと思いますが、こういう作品でガツンと恐怖体験してみるのもアリだと思います。

次は爽やかな青春小説でも読むことにします。あー怖かった。

 


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