「長い長い殺人」 宮部みゆき 感想 ネタバレ

  • 7 8月, 2013


宮部みゆき作のミステリー小説「長い長い殺人」です。この作品の面白いところはやはり擬人化した財布たちが語り手となってストーリーが進むことでしょう。こんなケースは私も初めてでしたw

轢き逃げ事件が発生し、現場で捜査に入ったベテラン刑事の”財布”から始まります。やがて次々と死人がでて大掛かりな保険金目的の殺人が明らかになっていくのですが、被害者や周りの関係者などの財布、犯人や証人の財布が事件を振り返ったり、リアルタイムで解説?してくれます。

作品を読んでいると読者はまさに”財布”になってしまうんです。犯人は分かっている。そして目の前の持ち主が命を狙われていると分かっている。だけど何もすることが出来ない。物語の外に存在するはずの我々が財布となって物語に登場しているようなものです。これってうまいよねぇ。

よくぞこんな面白い展開の仕方を思いつかれたと関心してしまいます。宮部みゆきの代表作といえばやっぱり「火車」です。ご存知の方も多いと思いますが、これまた斬新な物語の展開となっていますよね。私にはこれほどに想像の翼が羽ばたきません。

正直言って今回の一連の殺人事件はそこまで難解はものではなく、むしろシンプルです。でもこんな仕上げになると作品の面白さが格段に増すわけです。宮部作品には他にこんな面白いチャレンジが沢山あるのでしょうか?本屋に行って端から面白そうなものをピックアップしてみようと思います。


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